政府の規制改革・民間開放推進会議(議長=宮内義彦オリックス会長)が“目玉”の一つに掲げている、自動車検査登録制度(車検)の期間延長を巡って、国土交通省の抵抗が続いている。
期間延長は自動車の点検・整備をユーザーに大きく委ねることになり、国交省は「交通事故死傷者が年に600人増える」「路上故障が増え、渋滞や大気汚染につながる」などとする試算を公表したが、省内からでさえ、「余りに極端な想定では」と疑問の声も上がっている。
現行の乗用車の車検は、新車の場合、初回は3年、2回目以降は2年おきに課せられている。
昨年4月に発足した規制改革会議は「部品の耐久性が向上している」として、ユーザーの負担の軽減のため、初回に限り4年に延長することを提言。国交省に対し、「年度内に所要の措置を実施すべきだ」とした。
これに対し国交省では、学識経験者らでつくる「基礎調査検討委員会」を結成。警察やユーザー団体からのデータを集め、車検制度についての検討結果をまとめた。
試算によると、3年目の最初の車検を受けた乗用車のうち、ユーザーが日常的な点検・整備を怠ったことが原因で、タイヤの摩耗など約27%で不具合が見つかったと指摘。車検をさらに1年延ばせば、不具合発生率は約40%に跳ね上がると試算した。
整備不良が増えれば、交通事故も増加し、死傷者は年約7%、613人増加。路上故障で発生する渋滞も約10%増加するとした。さらに、有害な排ガスが年間約400トン(0・4%)増えるとして、「安全確保と環境保全に大きな悪影響を及ぼす」と結論付けた。
車検制度の見直しについて、規制改革会議は先月まとめた答申の中で、「自動車の点検・整備は使用者の自己責任」と指摘。車検制度について、マイカーの保有比率が毎年増加しているため、「国民負担の一層の軽減のために見直すべきだ」と促している。
国交省内でも「日本のユーザーは走行距離が短く、不具合発生率は想定ほどは高くはない」などの異論も出ている。しかし、同省自動車交通局では、今回の試算結果を今年3月には検討委の結論とする方針だ。